資金の乏しいところに融資して新たな社会の実現の支援をしているんです。
金利は低利、たった1%の単利です。
その資金源となっているのが、音楽家自身が無償のボランティアでやっているライブコンサートです。
「心莽」と呼んでいますが、これは世界でも例を見ないほど画期的なことです。
2006年は、3日間で8万人が集まったんですけれども、このコンサート会場は全部自然エネルギーで実現しています。
また、食事と買い物のエリアの電気は廃食油だけで賄っています。
売っているものの多くは、オーガニック食品、フェアトレード商品など、環境と体に優しい食品です。
ゴミは全部、参加者が自分で拾って、集めて、分別する仕組みです。
イベントが始まる前は多少ゴミが散らかっているのですが、イベントが終わったあとはまったくゴミが落ちていません。
みんな面白かって率先してゴミを拾って分別してしまうので、ゴミがまったくなくなってしまうのです。
一つひとつの小さな緑の点が、やがては社会全体を緑に融資先を見ていて、はたと気づいたことが2つあります。
一つは、もはやすべての問題に解決策が出揃っているということです。
ゴミ問題でもリサイクルでも、省エネでも河川浄化でも、森林再生やエコ住宅でも、ほぼすべてのアイデアが出揃っているんです。
これらが大きな流れになればすべてが解決するでしょう。
心莽のホームページに全部公開していますので、それをぜひ見てください。
もう一つ気づいたのは、これまで我々の社会を変えるには、巨大なハケのようなものを持ってきて、社会全体を緑に塗るしかないと考えてきました。
誰かが首相になって、巨大な権力を使って社会を緑に変えてしまうようなイメージです。
でも、それ以外にも方法があったんです。
日本各地に融資していったところに、緑色のマジックでポツポツと点を描いていくと、それが毎年徐々に増えていくわけです。
未来バンクやはかのNPOバンクも融資しているわけですから、緑の点がどんどん増えていくのですね。
これを続けていくと、やがて全部緑に変わるじゃないかと。
つまり、社会全体を緑にしたいときに、大きなハケでファシズム的に緑にするというのではなくて、各地域に小さな点をいくつも増やしていくことで、最終的に社会全体を緑に変えていくこともできるということです。
そうして考えてみると、私たちは小さな点を各地に作ればいいじゃないかと思い始めたのです。
エコ住宅専用の“住専”を作って、“トクをする温暖化対策”例えば皆さん方がエコ住宅に住むとなると、少し値段が高いですよね。
その値段が高いから、みんな環境や健康に悪くても安い住宅のほうを選んでしまっているわけです。
ところが、この部分に融資ができれば……と考えて計算してみたところ、非常に面白いことがわかりました。
ますので、通常の住宅と比較しても、エコ住宅のほうがトクになるんです。
だからエコロジー住宅に限定した低利ローンを作れば、みんな、儲かりながら環境に負荷を与えずに暮らすことができる。
トクしたい人たちは導入するでしょう。
トクをしながらエコロジーな暮らしに変えていくことは、実は可能だったんです。
つまりエコ住宅のための”住専”のようなものです。
現在は設立の準備を進めています。
融資によって、イニシャルコスト(最初にかかる初期費用のこと)をランニングコストといい、雨水利用、省エネ設備、太陽温水器など、いろいろな分野に応用できます。
このように、長期になればトクができるものを探せば、そこに融資していくことで“損をしない環境保護”が可能になるのです。
こうしたことを考えついていたとしても、「非営利バンク(NPOバンク)」の存在がなければ実現できるとは思わなかったことでしょう。
社会を変えていこうと目指すときに、私たちには3つの方向性があると思っているのです。
一つはタテ。
下から上、上から下に、自分か政治家になるなり、政治家に影響を及ぼすなりして社会をタテ方向に動かそうとする方法。
もう一つはヨコ。
隣の人に話しかけたりして、みんなでヨコに広がるムーブメントを起こそうとする方法です。
従来、このタテとヨコしか考えてこなかったんですが、もう一つあると思っているんです。
「ナナメ」です。
「別なやり方を考えて、現実に新たな仕組みをやってみせる方法」です。
これが大事だと私は考えています。
この3つを同じぐらいの比率でやれるようになっていかないと、社会は動かないだろうと思います。
その「ナナメ」の例が、私たちの作った非営利バンクでした。
私たちは「非力」ではありますが、「無力」ではありません。
微力であれ、合わせていくことで何かを生み出せるようになると考えているのです。
自然エネルギーの中で私か傑作だと思っているのは、高速道路などの脇についてカラカラ回っている反射板の風車です。
あれはただ回っているだけじゃなくて、裏に掃除するブラシやゴムがついていて、それで反射板を磨くんですよ。
従来は人が磨いていたので人件費がかかって大変だったそうですが、今は車が脇を通り過ぎるたびに自動的にカラカラ回って磨いてくれるので、とても節約になったそうです。
そのため、大ヒット商品になったらしい。
こういうのをみなさんも考えついてはしいんですね。
自然エネルギーというとハイテクなイメージがつきまといますが、本来身近な利用ができる、とてもローテクなものだってあるんです。
誰か、これに匹敵する商品を考えついてください。
あと、バイオガスも面白いですね。
例えば、中国の雲南省ではバイオガス利用を行っている家が100万戸を超えて、中国全体では1200万戸を超えています。
どういうものかというと、人間のウンチと豚のウンチをここに放り込んで、空気に触れない状態で微生物に発酵させると、メタンガスが採れる。
メタンガスは別名「都市ガス」なので、燃料に使えます。
それで煮炊きをし、ガス灯を点け、最後に出てくる液体を「液肥」として有機農家が使う。
最後に捨てるものは何もないという仕組みです。
トイレとしても、世界で最も衛生的で使いやすい仕組みです。
世界の途上国でも今後は、こういうトイレを使うのが一番よいのではないかと思っています。
このようなシステムを、企業が政府の助成金を受けて作ると、だいたい1億円ぐらいかかるんですよ。
当然、これでは高すぎて畜産農家だって入れられない。
導入費用を回収できない、役に立たないプラントになります。
ところが埼玉県比企郡小川町の「NPOふうど」の人たちは、これをわずか150万円ほどで作ってしまいました。
小川町のプラントの場合、団地から生ゴミをもらってきて、注ぎ口についとミキサーで粉々にして箱の中に流し込みます。
板張りの箱には大きな「ゴム風船」が入っていて、空気に触れない形で生ごみを発酵させます。
上にゴム風船があり、そこにバイオガス、つまり天然ガスと同じガスがたまります。
最後に出てくる液体肥料は500のタンクに入れられ、近くの有機農家に売られていく。
これは非常に人気があります。
撒くのに手間がかからず、しかも上地の中での持ちもいい。
最近、ホンダ発動機の協力を得て発電機をつけ、発電した電気は自然エネルギーとして東京電力に売っているそうです。
そうなると、ここではゴミがなくなって、都市ガスも有機米、有機野菜が採れるわけです。
これを「液肥米」という名前で、ブランド米にしようとしています。


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